世界は足元から始まる〜上高地

予定していた旅に台風で行けなくなった
実は小笠原諸島の父島に行くつもりだったのだけど
出発前日に船が欠航になってしまったのだ

ぽかりと空いたその時間
別の場所へと思って決めたのが上高地だった
心の奥のほうでずっと行ってみたいと思っていた場所

出発日は台風が東京を過ぎていった朝
予定していた直行バスが欠便となり
急遽、別のバスや電車を乗り継いでの上高地入りとなった

滞在中、お天気に恵まれた日もあれば大雨の日もあった
その全てが素晴らしい、そう思わせてくれる場所だった
人間が過剰に介入していない世界というのは
朽ちていく姿さえ美しいものだった

森の中をひたすら歩いていると
自分が主張しすぎているような違和感が出てくる

人間としての気配を押さえながら歩いてみると
自分と森や川との調和感が出てきて
意識は内向きなんだけど
外とつながる感覚は広くなる

時間感覚もなくなってきて
ただ歩みを進める足元から
世界が広がってゆくような

全く気がつかなかったけど
自分、随分と奢っていたんだな

普段ではなかなか辿り着かない心の場所へ行った
そんな時間となりました

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