暦(こよみ)〜28日後の自分

4月7日、緊急事態宣言が出される前日、所用があって新宿の伊勢丹に行った。店内は、明日出されることが決定した緊急事態宣言を受け長期休業を決めた後で、お店の中の雰囲気はいつもとは全く違っていた。店員さんからも、緊張感、不安が伝わってきたのを覚えている。

そんな中、わたしは一つのお茶を買った。
「beautiful Magic Moon Tea」と名付けられたそのお茶の箱の中には、満月、下弦、新月、上弦と月の満ち欠けに合わせブレンドされた4種類、28個のティーパックが入っていた。緊急事態宣言が出されているであろうこれからの28日間、毎日1パックこのお茶を飲んでみようと思ったのだ。

4月8日、私が住む東京都に緊急事態宣言が出された。折しもこの日は満月だった。私は昨日買ったお茶から満月のブレンドを取り出して飲んだ。この箱に入っている全てのお茶を飲んだ28日後、世界はどう変わっているんだろうか。そんなことを思っていた。

5月5日、最後のティーパックを飲む。上弦の月のブレンド。満月まであと2日。28日後の世界はどんな風になったのだろう。28日前に想像していた世界とは何が一緒で何が違っていただろうか。こんな風に自分なりのアンカーを使って、時間の流れを観察するのはけっこう楽しいものだと思った。

自分なりのアンカー(錨)と書いたけど、今回のこの状況を受けて、これから人は今の暦からも離れてゆく道を辿るだろう。リモートワークが進み、家にいる時間が増え、言ってみれば休日や平日といった概念も混ぜこぜになってくる世界。カレンダーすら自分で選ぶような時代に入る。

自分がどの暦で生きるのかすら、選べる、いや選ばなければならない時代に入ってきていると感じる今日この頃である。

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