熊野古道伊勢路〜旅の始まり

30代でスペインの巡礼路を歩いた私。次は熊野古道を歩きたいと思っていたのだけど、気がつけばあっという間に18年ほどの月日が流れていた。そんなにも時間が経ったのには色々理由があったのだけど、一番はカミーノの終わりに感じたことを消化するのに14年くらい掛かってしまったことだろう。カミーノからずっと抱え続けてきたリュックをようやく降ろせたのは、丁度会社を辞める決断をした頃だった。

そのあたりから熊野古道のことを調べ始めた。熊野古道には色々な路があることを知ったのものこのときだ。そして一番長い「伊勢路」の地図をプリントアウトして会社員生活を終えた。しかし辞めた後数年は全くその気にならず、地図は戸棚の中に入りっぱなしだった。

カミーノのときもそうだったけど、こういう場所に行くときは、必ず呼ばれる。その確信があったから無理に行こうとは一切思わなかった。

昨年あたりから、何となく機が満ちてきたような感覚が出てきた。サインも来てて、いよいよだなと思うようになった。しかしその矢先、体調が悪化し予定は伸びに伸びた。疲れることが病状に直結していることを自覚しているので行くことへの恐れも出てき始めたのもこの頃だ。

昨年の終わり頃、回復を遂げた私は具体的な日程を決め、宿を予約し始めた。全てを決めた後、日程を眺めてみると、それは色々な意味で本当に素晴らしいものだった。あぁこのタイミングだったんだなと納得したのだった。

こうして私の伊勢路は始まった。
いや、もうだいぶ前からとっくに始まっていたんだと思う。

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